フリーランスエンジニアが正社員に戻る完全ガイド

フリーランスエンジニアが自社開発の正社員に戻るかどうかを考えるための完全ガイドです。判断軸・実践ロードマップ・年収データを1本に整理し、迷いを次の一手に変えます。

「年収は下がらない。でも、この働き方を10年は続けられない」
そう感じたとき、フリーランスエンジニアは正社員に戻る道を検索し始めます。しかし判断材料は複数あります。年収・書類・面接・気持ちの整理と、それぞれ別の記事に分かれています。このガイドは、それらを1本の完全ガイドとしてまとめたものです。

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フリーランスエンジニアが「正社員に戻る」を考えるときの3つの軸

フリーランスエンジニアが正社員に戻るかどうかは、まず判断を急ぐ前に整理すべき軸があります。年収・働き方・技術力の3つです。どれか1つだけで決めると、後で後悔しやすくなります。3つを並べて見ることで、自分がどこで迷っているのかが明確になります。順番に見ていきましょう。

軸1:年収は本当に下がるのか

多くのフリーランスエンジニアは「正社員に戻ると年収が下がる」と思い込んでいます。しかし、これは半分だけ正しい認識です。フリーランスの月単価は、社会保険・年金・税金・経費を差し引く前の金額だからです。一方、正社員の額面には、次のような会社負担・上乗せが見えないかたちで含まれます。

  • 社会保険料(健康保険・厚生年金)の会社との折半負担
  • 賞与・有給休暇・退職金・各種手当
  • 福利厚生・研修・学習支援などの投資
  • 売上の波からの解放、確定申告・経理の手間からの解放

そのため、額面の増減だけでは損得を判断できません。比べるべきは、手取りと将来の年金まで含めた実質です。ただし、実際に手取りベースでも下がってしまう人には共通点があります。市場価値を把握せず、企業からの最初の提示額をそのまま受け入れてしまうケースです。この共通点は、次の失敗パターンでも詳しく取り上げます。

軸2:働き方は今のままで10年続けられるか

案件が変わるたびに、収入の波と孤独感が戻ってきます。これは能力の問題ではありません。つまり、働き方の構造そのものが原因です。この構造は、案件を選び直すだけでは変わりません。また、案件の切れ目が近づくたびに、次の営業活動が必要になります。これも繰り返される負担のひとつです。さらに、体調を崩した際の収入減も、フリーランスには直接響きます。一方、正社員には有給休暇や傷病手当金という制度があります。この違いは、10年という時間軸で考えると小さくありません。

軸3:技術者として前に進めているか

受託・常駐の実務は、実装力を鍛えます。一方で、プロダクトの意思決定に関わる機会は限られます。そのため「技術で貢献した実感」が薄れていく人もいます。この感覚は、志望動機の説得力にも直結します。なぜなら、面接では「何を実装したか」だけでなく「何に貢献したか」が問われるためです。また、この違いは職務経歴書の書き方にも表れます。作業の列挙で終わるか、成果として語れるかは、この軸の整理度合いで決まります。

3つの軸、いまの自分はどこにいますか?

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判断のための実数データ ―― 年収・求人動向・転職理由

感覚だけで判断すると、面接で根拠を聞かれたときに答えられません。そこで、公的統計から実数を確認します。ここで示す数値は、いずれも国の統計にもとづく全体傾向です。個々の企業が提示する金額を保証するものではありません。統計値は職種・年齢・企業規模によって変動します。

年収と求人動向の実数

出典は厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」です。システムエンジニア(Webサービス開発)の平均年収は578.5万円です。平均年齢は37.1歳です。同職種の有効求人倍率は2.57倍と、人材需要は高い水準にあります。なお、給与所得者全体の平均給与は478万円です。これは国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査によるものです。つまり、システムエンジニアの平均年収は、給与所得者全体を約100万円上回っています。

指標 数値 出典
SE(Webサービス開発)の平均年収 578.5万円(平均年齢37.1歳) 厚労省job tag
同職種の有効求人倍率 2.57倍(令和6年度) 厚労省job tag
給与所得者全体の平均給与 478万円(前年比3.9%増) 国税庁 民間給与実態統計調査
正規の職員・従業員の割合 75.6%(自営・フリーランスは20.0%) 厚労省job tag

ここで押さえておきたいポイントは2つあります。ひとつは、上記の年収差です。もうひとつは、有効求人倍率が2.5倍を超えている点です。1人の求職者に対して2.5件以上の求人がある状態です。したがって、採用側にとって「買い手市場」ではありません。この状態は、交渉の土台としても無視できません。

転職による賃金変動と、書類選考で見られる項目

厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、転職入職者の賃金変動が示されています。「増加」40.5%、「変わらない」28.4%、「減少」29.4%です。つまり、約7割は増加または横ばいという結果です。

フリーランスエンジニア 正社員 転職による賃金変動のグラフ
転職入職者の賃金変動(厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」)

また、厚生労働省「転職者実態調査」でも傾向は同じです。企業が採用時に重視する事項の1位は職務経歴(43.8%)です。2位は人柄(42.0%)でした。専門知識・技能は17.3%にとどまります。したがって、経歴の「伝え方」が選考結果を左右します。

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なぜ「今」、フリーランスエンジニアは正社員に戻るべきなのか

判断を後回しにすると、選択肢はどう変わるのでしょうか。ここでは、需給と時間の2つの視点から確認します。どちらも、判断を先延ばしにするほど不利に働く要素です。逆にいえば、早く動くほど選べる範囲は広がります。

需給ギャップは、経験者に有利に働いている

経済産業省「IT人材需給に関する調査」では、2030年のIT人材需要は192万人と試算されています。一方、供給は113万人にとどまります。差し引き約79万人の不足です。この需給ギャップがある限り、経験者の交渉余地は小さくありません。ただし、これは全体傾向であり、個々の企業の提示額を保証するものではありません。なお、この試算は需要の伸びが大きい高位シナリオにもとづくものです。個々の企業の採用状況とは別に、市場全体の方向性を示す数値として参考にしてください。

年数を重ねても、フリーランスの不安定さは自動的に解消されない

内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁「令和4年度フリーランス実態調査」では、フリーランスの7割超が収入の不安定さに不安を感じています。さらに、独立から10年以上でも、4割超が「非常に不安定」と回答しました。つまり、経験を積むだけでは、不安定さは消えないのです。むしろ、経験を重ねるほど、案件の規模や単価への期待も上がっていきます。そのうえ、厚生労働省の調査では別の傾向も見られます。賃金変動の「増加」割合は、年代が上がるほどゆるやかに下がるのです。判断を先延ばしにするほど、選べる選択肢は狭まっていきます。今の市場価値を早めに把握しておくことが、選択肢を広く保つことにつながります。

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面談の現場から:迷っている人が実際に話していたこと

ここまでの判断軸を、実際の声で確かめてみます。筆者が2026年に面談したエンジニアのうち、フリーランスの経験がある方の話です。

※ 面談でうかがった内容は、個人が特定されないよう年代・職種などの要素だけを残し、発言は趣旨を変えない範囲で読みやすく整えています。

「戻る」か「続ける」かの二択ではない

IT歴4年のエンジニアの方は、2026年に正社員として入社しました。一方で、業務委託の案件も4件並行して続けています。転職の相談をしたとき、最初に出てきたのは次の言葉でした。

IT歴4年
エンジニア

いろんなプロジェクトを持っているので、それの融通が利かないと、ちょっと動けない。転職ができないかな、と思っています。

このように、正社員とフリーランスの仕事を組み合わせる人もいます。ただし、案件を抱えすぎると、今度は転職の時期を自分で選べなくなります。この方も、稼働がかなり詰まっている状態でした。したがって、両立を考えるなら、応募先の副業規定と、自分が回せる案件数を先に確かめておきましょう。

今の単価は、実力の評価とは限らない

同じ方は、自分の単価について冷静に見ていました。SESの営業を1か月ほど経験し、案件の要求水準を売る側から見たことがあったからです。

IT歴4年
エンジニア

自分が今持っている案件は、多分、実力以上にいただいているというのは、自分も理解しています。

単価は、そのときの需給や商流で決まる部分があります。つまり、高い単価がそのまま市場価値を表しているとは限りません。反対に、単価が低くても、正社員の選考では高く評価される経験もあります。だからこそ、STEP1で市場価値を測るところから始める意味があります。年齢や年収の判断で迷う場合は、フリーランスエンジニアが正社員で年収を下げない方法で面談の実例をさらに紹介しています。

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正社員復帰までの実践ロードマップ(4ステップ)

ここからは、フリーランスエンジニアが判断から内定までに進む実践ステップです。順番どおりに進めると、迷いが行動に変わります。逆に、この順番を飛ばして書類作成から始めると、根拠のない志望動機になりがちです。まずは自分の状況を数値と気持ちの両面で把握することから始めましょう。

STEP1:市場価値を診断し、想定年収レンジを知る

まず、自分の市場価値を数値で把握します。単価の感覚ではなく、言語・経験年数・契約形態から算出された想定レンジで考えます。ここが曖昧なままだと、次の職務経歴書も志望動機も、根拠のない内容になってしまいます。年収を下げずに戻るための3つの条件は、正社員で年収を下げない方法で詳しく解説しています。この記事では、市場価値の把握・経験の翻訳・レンジでの交渉という3条件を扱っています。

STEP2:職務経歴書でフリーランス期間を「翻訳」する

次に、案件の実績を書類に落とし込みます。ここでつまずく人が多いのは「作業の列挙」で終わってしまうためです。受託・常駐の経験を、自社開発企業が評価する言葉に翻訳する必要があります。具体的な構成と言い換えの方法は、職務経歴書の書き方にまとめています。企業が採用時に最も重視するのは職務経歴です。ここに時間をかける価値は大きいといえます。

STEP3:志望動機を「逃げ」に見せない言葉にする

さらに、志望動機を設計します。「収入が不安定だから」という理由は、そのままでは弱く響きます。事実→転機→貢献の型に変換する必要があります。具体的な内容は志望動機の書き方と例文で紹介しています。そのまま使える例文4パターンと、面接での深掘り質問への答え方を掲載しています。書類が通っても面接で落ちる場合、原因の多くはこの設計にあります。

STEP4:「疲れた」の正体を整理してから動く

最後に、気持ちの整理も欠かせません。「疲れた」は体力の限界だけを指す言葉ではないためです。収入の波・孤独・体調リスクという3つの正体を分けて考える必要があります。この整理をしないまま動くと、志望動機にも迷いがにじみます。詳しい整理の方法は、フリーランスに疲れたと感じたらで解説しています。順番としては、この整理を先に済ませておくほうが、STEP1〜3もスムーズに進みます。

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正社員復帰で失敗しやすい3つのパターン

ここで、実際につまずきやすい場面を確認します。事前に知っておけば、同じ失敗は避けられます。いずれも、準備不足というより「準備の順番」を誤ることで起きるものです。

失敗1:年収を単一額で交渉してしまう

「希望年収は600万円です」のように、単一額だけを提示すると、根拠が伝わりません。むしろ、想定レンジと根拠をセットで示すほうが、交渉の土台が安定します。例えば「経験年数と技術スタックからこのレンジが妥当」と説明できれば、印象は大きく変わります。診断で得られる想定レンジは、この根拠づくりの出発点になります。

失敗2:職務経歴書が「作業の列挙」で終わる

担当機能や使用技術を並べるだけでは、貢献の大きさが伝わりません。一方で、成果を数字と役割で示すと、評価は大きく変わります。なお、企業が最も重視するのは職務経歴です。その割合は43.8%にのぼります。ここに力を入れる価値は大きいといえます。

失敗3:志望動機が「逃げ」に見えてしまう

「安定したいから」という表現は、面接官に消極的な印象を与えがちです。なぜなら、志望理由ではなく退職理由に聞こえるためです。そのため、応募先で実現したいことに言い換える必要があります。この変換を怠ると、書類は通っても面接で落ちやすくなります。3つの失敗はいずれも、STEP1〜3の準備を丁寧に行えば避けられるものです。逆にいえば、準備の質が結果を大きく左右します。

「戻るかどうか」を決める前に、条件を数字で見てみる

診断後、希望に近い自社開発求人の傾向もあわせてお伝えします。

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まとめ|今日からできる次の一手

フリーランスエンジニアが正社員に戻る判断は、年収・働き方・技術力の3軸で整理できます。そのうえで、順番も大切です。市場価値の把握、職務経歴書、志望動機、気持ちの整理という順で進めると、迷いが行動に変わります。需給ギャップという追い風がある今は、判断を先延ばしにするデメリットのほうが大きいといえます。まずは、今の自分の想定年収レンジを知ることから始めてみてください。そのうえで、4本のステップ記事を順に読み進めれば、応募までの準備が整います。私たち株式会社LXは、有料職業紹介事業者として、この一連のプロセスに伴走しています。詳しい運営情報は運営会社についてでご確認いただけます。

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よくある質問(FAQ)

進め方と年収についての質問

Q. フリーランスエンジニアが正社員に戻ると、年収は必ず下がりますか?
A. 必ず下がるわけではありません。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、転職者の40.5%が賃金増加、28.4%が変わらないと回答しています。年収は経験や交渉の進め方によって変わります。
Q. どの記事から読み始めればいいですか?
A. まずは市場価値診断で想定年収レンジを確認してください。次に職務経歴書、志望動機の順で読むと、書類作成までスムーズです。
Q. フリーランス期間はブランクとして不利になりますか?
A. 書き方次第です。企業が採用時に最も重視するのは職務経歴(43.8%)です。実績を自社開発の評価軸に翻訳できれば、不利にはなりません。

気持ちとタイミングについての質問

Q. 「疲れたから辞めたい」という気持ちだけで動いてもいいですか?
A. 気持ちの整理を先に行うことをおすすめします。疲れの正体を分けて考えると、志望動機の説得力も上がります。
Q. 判断を先延ばしにしても、条件は変わりませんか?
A. 変わる可能性があります。厚生労働省の調査では、賃金変動の増加割合が年代とともにゆるやかに下がる傾向が見られます。早めの判断が選択肢の広さにつながります。
Q. 正社員に戻ったあと、フリーランスに戻ることはできますか?
A. 可能です。ただし、正社員としての実績は次の選択肢の幅を広げます。まずは今回の判断に集中することをおすすめします。SIer・受託出身の場合も同じです。担当した機能や成果を言語化できれば、自社開発企業から評価されます。
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この記事の一次情報源

  1. 厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」システムエンジニア(Webサービス開発)— https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/314
  2. 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」— https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2024.htm
  3. 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」— https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/gaikyou.pdf
  4. 厚生労働省「令和2年 転職者実態調査の概況」— https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r02-gaikyo.pdf
  5. 経済産業省「IT人材需給に関する調査」— https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
  6. 内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁「令和4年度フリーランス実態調査結果」— https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/download/freelance/chousa_r4.pdf
  7. 株式会社LX「エンジニア・フリーランス支援事業者との面談記録」(2026年7〜9月実施・筆者が聞き手)※個人が特定されないよう匿名化して引用
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